2009年01月06日

俺のダメっぷりを綴ります。

約束どおり。

先ずは、先日IBのほうに掲載された俺の紹介文からの引用(>>)と、それへの補足を記させていただきます。ある種の苦労話(それは言わば自慢話)になってしまいますが、事実は事実として晒しておこうと思います。

>>上京して色々な人にあって色々な音楽知って。腕も上がった知識もついた。器用になった。なんか「よくできた」ものが作れるようになったんだけど、自分で聴いて泣けなかった。

その時は、それが何故なのか、わからなかったんだよ、まだ。で、紹介文だと、この後「疾風船結成」まで、ほぼ飛んでるでしょ?でもね、本当はここが凄く重要なのよ、俺の最大の転期だったの。

>>その後大病を患い一旦帰郷。

これ、執筆者が気ぃつかってくれたんだと思うんだ。実際には、病気になったのは帰郷してからのことで、東京を離れた理由は別にあったんだ。「進退窮まって郷里に逃亡」なんだよね。実にカッコ悪くてさ、女絡みで面倒が起きてね、まともに暮らしていけなくなったの。で、逃亡生活。結局、栄養失調やら心労やら重なったんだろうね、身体壊したのは。本当に底辺だったよ。自殺を考えたのは後にも先にもあの頃だけ、実行はしなかったけどね。それまで自分は絶対そんなこと(自分を殺すなんて)考えもしないと思ってたけど、覆ったね、あの時。

「もう一度体験したいことは?」と問われたら迷うけど、「もう二度とご免と思うことは?」と問われたら即答で「あの頃」と言うよ。でもね、この事があったから、自分を取り戻せたとも思ってる。あのまま東京で面白おかしく過ごしてたら、少なくとも今の俺は無かったろうな。そのくらい、いいかげんで安易だったんだよ、「"これ"で食えたら、べつになんだっていいや」そんな風だった。そりゃあ考え方ひとつで、良し悪しじゃないことなんだけど、少なくとも、"本来の俺"から見ると、最低にカッコ悪いよ、その時の俺。



これまでも何度か言ってきましたが、「知ったら駄目になる」ことって、あるんですよ。学問とか芸事って。俺も今だから言えるんですが。つまり、「自分で泣けない(好きになれない)」ものを作ってたというのは、まさにそういうことだったんですね。駄目になってたんですよ、俺。その頃の俺は、知識欲を満たしてた(これには「人に褒められたい」という欲望も含まれてます)だけだったんですね。知技に溺れて"もともとの自分"を見失ってた、ということなんです。

あれをやってみせないと「出来ないんだろ」って思われるんじゃないだろうか?「知らないんだろ」って思われるんじゃないだろうか?これは「よく出来てる」と言ってもらえそうだな・・・いつしか、そんな風になっていたんですね。「それっぽい」のはいくつもあるけど、自分らしいって、なんだったっけ・・・?というかんじです。

得るのも大変ですけど「捨てる」のって大変なんですよね。"自尊心"という奴が、邪魔をするんですよ、まるで誰かにテストされてるみたいに。ここは、学校じゃ無いだろうに。自尊心を棄てられた時に、はじめて"誇り"を得られるんじゃないかなと思います。俺ごときが言っても説得力無いでしょうが、少なくとも俺自身は「実感」なんです。

「俺は複雑な音階も和声も使いません、近代的なサウンドメイクもしません。何故って、それは「俺」じゃないから。」

死にかけてようやくですよ、開き直れたのは。難解な音使いも複雑な展開も俺には要らなかった、というより、「それはそもそも俺じゃ無い」と。

一体、誰になりたかったんでしょうね、間違ってた頃の俺は。

でもね、面白いもんで、一旦開き直ると、本当に忘れていくんですよ、必要なこと以外は。その頃の音源とか聴くと、「よくこんなの思いつくな」なんて思っちゃうんです、他人事みたく。学校で習ったことも、暮らしの中で不要なものは忘れていったりするでしょう?それと似てます、なんとなく。理想論ですが、「はじめ広く浅く。後に狭く深く。」です(※)。棄てられなかったら俺は、引き出し多いだけの技のデパートみたいなんで終わってたかもしれません。

皆そうだというわけではありませんよ?俺は「忘れないとダメな人」だったんです。

自分を見極めることです。

人により、差異はあると思いますが(また若いうちは特に、棄てるに棄てられないかもしれません。「速弾きして見せないと!(出来ないと思われる!)」とかね)、ひとつのことを長く続けていると、必ずそういう時がくると思います、取捨選択の時が。でもね、不思議なことじゃないんですよ、普通に生きていたって、そういう事ってあるでしょ?よほど漠然と生きていない限りは、何かしらの選択を迫られる時ってあると思うんです。それと同じ(だから「ロック(音楽)は生き様」なんです)。


※誤解の無い様に付け加えておきます。

基本/基礎は大事ですよ!スイープだろうがタッピングだろうがスキッピングだろうが、結局はハンマリングやプリングその他諸々の基本テクニックの組み合わせで出来てるんですから。HR/HM好きの人は特に、いきなり"ハイテクフレーズ"などにかまける傾向がありますが、基礎がなってない人は、その先をやっても程度が知れてるというか、直ぐに底が見えてしまいます(ピロピロしてる間はそれなりに聴けるけど、ゆっくりになるとまったくダメって人が多いのは、そのせいもあるんじゃないかなと思ったりもしてます)。

型を憶えただけで強くなれる武術なんか無いでしょ?それと同じこと。だから、「浅く」と言っても、「基本を繰り返すこと」は、また別です!あ、それから、結果を急ぎ過ぎる人も最近多いですね、「〇か月で学ぶ〇〇」とかね、信用するのがおかしいですから。最低でも3年は続けてください、いや、冗談抜きで。続かなかったら天命じゃ無いってことです。