2014年06月14日

極私的小品ではあるけど

実は音楽的に伝えたいことが詰まってもいるので、ここにも記しおくことにする。



お聴きいただくとおわかりの通り(?)ベースとなってるのは、あの旋律。なぜそれを用いたのかは、常日頃から俺のことをご存知下さってる方には恐らく説明不要だろう(笑)まあ、つまり俺の中では彼女そのもの、その象徴のようなものなわけですよ、あの旋律は。もう劇伴などで言うライトモチーフみたいなもの。

それを基礎として即興曲風に仕上げた。思い立ってから数時間でのことなので、実質ほぼ即興的と言えるかな。

前半のピアノ独奏二巡目、後半の弦への引き継ぎ的意味合いもあってチェロで低音カウンタを入れてたんだけど、やや周到感が過ぎて、せっかくのピアノの即興感(手探りで徐々に音が増えていく感じ)が薄くなってしまったので、最終的にオミットした。

その、弦が奏でる旋律。目聡い(耳聡い?)方はお気付きだろう、かの有名なわらべうたのオマージュだ。原曲は、その歌詞や調性から、そこはかとなく怖さ不気味さの様なものも湛えているが、ここではそれよりも、夕暮れ時に感じる不思議な非日常感とか寂寥感、郷愁や哀愁を表した…つもりだ。ついでに言うなら、原曲の歌詞に現れる『細道』という言葉に、和製ロードムービーとしての存在感空気感が、俺の中で合致したのかもしれない。

残念ながら映画は現状未見だが、予告編から感じた心象を(このパートに限らず)投影した。無論、実際に観たら全く別の印象を受けるかもしれないが、これが『インスピレーション』というやつだ。当然、他の方々、ことに、既に映画をご覧になった方々はもちろんスタッフ出演者の方々にしてみれば「イメージと違う」かもしれない。しかし、これが俺の抱いたイメージであり、「観たい」と思った気持ち。そういうことです。

なお、今回、俺にしてはめずらしく四和音多用。予告編から、登場人物の抱える迷いや不安を強く感じたからだ。これは淀み無い三和音ではなく四和音だなと直感した。

そもそも、いわゆる短調であり、決して(一般平均的心象として)明るくは無い。しかし、俺は短調に燃え上がるタチなのだ、ある意味、長調よりもハッピーだと感じる(笑)それはたぶん、苦悩とは希望を求める道行きだからだ(つまり、それ自体「希望が在る」ってことじゃないか)。

最後に。

その旋律を奏でるのはギターばかりじゃない、同じく等しく旋律で曲で音楽なんだよ。←これが端的に詰まってる。対比して、いや『区別も差別も無く』純粋に音楽を聴いてもらいたいなと思う。

それはもちろん音楽に限らず。他の芸術についても同じ、もちろん映画もね。

遠藤憲一 松井玲奈 W主演映画『gift』は、愛知県内にて本日公開。そこからの広がりを祈念して。



【追記】
あの曲の『ピアノアレンジ』という点においては既にshun fukumoto氏による素晴らしいバージョンが存在しているので、また別の、自分流のアプローチをせねばというのはあった。あのアレンジは原曲をとても尊重してくれてたので、ここはオリジンとして少々『壊す』のもよかろうというか、それが『特権』かなと(笑)うん、上手くいったと思う。